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古い人間だから

恐ろしいことに…私がデザインを始めた頃から

40年近く経ってしまった。

関西の大学でビジュアルデザインを学び

大手広告代理店出身の現役デザイナー達から

デザインのイロハを教えてもらった。

ロットリングでトンボを引く。

大きな三角定規を使って……。

1ミリの10分の1のズレも許されない世界。

直角の取り方なんてできて当たり前だった。

トレスコの使い方も

写植指定するのも

文字のスペーシングも

全部大学で学んだ。

それが当たり前と思ってたけど……

北九州に戻って

就職したデザイン事務所の………

私を雇った理由というのが、

写植のことを知ってたかららしい。

1級=1歯=0.25ミリ

私以外の人は答えられなかった。

今となっては知ったところで

なんの自慢にもならない数字だが

その時は役に立った。。。

運命とはそんなもの。

私はそのデザイン事務所で

さらに多くを学んだ。

私の後にそこへ入社した

地元の専門学校出身のデザイナーは、

直角をとるのに

三角定規を使わず

ケント紙の角を直角と信じて

そこを基本にして定規だけで長さを当たりながら

器用にトンボを引いていた。

写植指定もできなくて

トレスコも使えず………

すぐにやめてしまったが

その後、大きな会社で

バリバリデザインの仕事をやってるっていうから

地方ならではというか……

これも運命なのでしょう。

こんな昔の苦労話をしたがるのは

この時代、

必死で版下を作ってたデザイナーの

悪い癖で……

絶対お酒の席なんかで

若者にしたら場がしらけてしまう

ダメあるあるなんだけど

私が信じる

スッキリしたデザインとは……

ちょっと古臭いのかもしれないが

全てグリット感だと思う。

黄金比もバランスもそこにあると信じている。

嫌なほど若い頃にそれをたたみ込まれた。

まず広告の大小関わらず縦横を段組する。

小さいものは中央にガイドを引く。

大きなものは4段組だったり10段組だったり

とにかく入れる内容の量によって

段組の数を決める。

文字や写真はそのガイドに沿って配置すると

不思議とバランスよくスッキリ見えるのだ。

適当にこの辺り〜って

文字や画像を配置すると

なんだか収まりが悪いというか…

不安定な感じがする。

自分が作ったグリットに沿って

(それをフォーマットっていうのだけど……)

決まり事を作りながら

レイアウトすることはとても大事なことなのだ!

私は3年近くそのことをここで学んだ。

文字のスペーシングも

丸い文字は視線が逃げる

だから他のスペースよりも詰めないと

ポカーンと開いた感じになって

バランスが悪い。

そんなことを叩き込まれてるからだろうか……

GUのロゴを見るたびに

もうちょっと左に寄れよ〜と思ってしまう。

でも………

GとUの文字間を考えると

こうなるのかもしれない。

あえてこのデザイン…

そしてこのゆるさが今流。

40年も経ってしまって……

デザインの世界から遠のいて

すっかり時代遅れな古い人間になってしまって

バブル期の西武やサントリーの広告から学んだ

デザインの良し悪しが

今の世の中に通用しないってことを

毎日思い知らされてる。

不安定で

その自由な感じがいいデザインって…………

古い人間の私自身も

思い始めてしまっていて

きっちりデザインしてると

それが古いんだよ〜

もっと楽に感覚重視でデザインしろよ!って

自分に言い聞かせてるもう一人の自分がいる。

でもやっぱり昔のサントリーの広告とか

かっこいい!!!

時代なんだよね〜時代……。

デザインってむづかしい。

頑張ろう!!

脱!古臭い人間

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